2008年03月08日

 Mar 08 Newsletter: パンゲアリング 福田彩さん

今月は、東京外国語大学の平和構築・紛争予防講座でプログラムオフィサーをされている福田彩さんです。



 こんにちは。福田彩と申します。現在、東京外国語大学大学院の平和構築・ 紛争予防講座で、世界各国をインターネットで結んで一つの教室を作るオンラ イン授業のコーディネーターをしています。パンゲアのことは、その報道活動 もしていた新聞記者かおりさんから初めて伺いました。衝撃を受けすぐにボラ ンティアとして申し込み、初めて乃木坂のオフィスに行きパンゲアの皆様にお 会いした時、その理念とポジティブな空気に、この活動は現代にとても必要な ものだ、と直感しました。

 大学時代には日本・中東学生会議というサークルに属していたのですが、そ の中でパレスチナのガザキャンプへ訪問したことが、その後パンゲアに関わる きっかけとなりました。キャンプの住人がとつとつと語るのは、イスラエルへ の憎しみの話でした。彼らは移動の自由もなく、他文化や他人種を知る機会も なく、彼らの世界の中だけで毎日を生きていました。インタビューの間に「外」 からの訪問者である私達をこっそり覗いているこども達は、平日の昼間だとい うのに学校へ行っていません。そしてある一家から帰る時、どこからともなく こども達が集まり、私達に石やゴミを投げ続けました。彼らは、大人の行動に 倣い、「知らない」異質な物は追い出さなければ、と思ったのかもしれません。 そこに憎悪の世代間の連鎖を見た気がしました。パンゲア創立のきっかけの、 9.11が起きたのはこの経験の直後でした。この時に、「知る」為の「教育」と 「コミュニケーション」の大切さを痛感しました。

 昨今急速に発達するコンピュータの技術は、やり方によっては、居住地を移 動しないでもポジティブな「教育」と「コミュニケーション」の促進を可能に します。十人十色の利害と価値観が渦巻く世の中で、紛争というのは国家間だ けでなく、家庭の中にでも、教室にも仕事場にも起こり得るものです。しかし、 取り返しのつかないことになる前に、相手のことを「知り」、思いやる気持ち を育むのが共存する上で不可欠なことです。その為の活動を、国と地理的な距 離を越えて実行しているのがパンゲアなのです。人はいくら同じ共同体に属し ていても、詰まるところ見ている世界と受け取り方は一人一人違います。その 前提をひらりと飛び越え、みんなで一つの場と時を共有して「楽しい」関係を 作っていく。その力が、まるで二つのベクトルが合わさってもっと遠くまで行 ける様に、人と人との間によりよく協同できる生産的な関係を生み出すのだと、 私は思います。

東京外国語大学 大学院地域文化研究科
平和構築・紛争予防講座 グローバルキャンパス推進室
プログラムオフィサー
福田彩

投稿者 kumakinoko | 3. ニュースレター , 4. パンゲアリング