2007年11月08日

 Nov 07 Newsletter: パンゲアリング サイモン・ジョーンズさん

今月は、アムステルダム大学教授のサイモン・ジョーンズさんからの メッセージです。




何故人は遊ぶのか?

 世界中の空港では、旅行者が空き時間に何時間もプレイステーション、ビデ オゲーム、トランプ、数独などをしている光景を眼にします。また最貧国と呼 ばれる国々においても、例え生活が非常に苦しい中においても、人々はおいか けっこをしたり、棒を使って何かを組み立てたり、絵を書いたりして遊んでい ます。競争が激化し、生き抜くことがますます難しくなっているこの現代にお いて、なぜ私たちはそんなにも多くの時間を割きまるで怠け者のように「遊ぶ」 のでしょうか。

 遊ぶということはスポーツや競技とは違います。それらはもちろん重要なの ですが、遊ぶということは人間にとって、それらとはまた違った役割を担って います。我々は一人で遊ぶことによって、自分自身、また自分の可能性を見出 していき、またグループで遊ぶことによってグループとしてのアイデンティテ ィを持つということや、そのアイデンティティに対して他者がどのように行動・ 反応してくるかということを知ることが出来ます。つまり、遊ぶということは 自分自身を確認し、生きるということを確認するための活動なのです。この基 本的には「協力的」であるという遊びの性質こそ、スポーツや競技が「競争」 であるということと大きく違う点といえるでしょう。そのために、遊ぶという ことは最も社会的な動物である我々にとって、非常に重要なのです。

 我々自身とかけ離れた人たちと遊ぶという経験は、他者についてただ単に学 ぶ練習になるだけではありません。むしろそれは、他の方法では気がつきもし なかったかもしれない我々自身についての何かを発見するために非常に効果的 な方法なのです。なぜパンゲアが大変に意味のあるプロジェクトなのか、なぜ このプロジェクトが長く続き、また出来る限り多様な文化や国々の中において そのテーマが発展していくことが重要であるか、私が考えている理由はここに あります。

アムステルダム大学教授
サイモン・ジョーンズ

投稿者 kumakinoko | 3. ニュースレター , 4. パンゲアリング