August 2006 Pangaea Newsletter

-INDEX-

・06年7月の活動概況
・お知らせ:COCON烏丸アクティビティ・こども参加者募集中!
・理事長便り
・技術便り
・アクティビティ便り
・パンゲアリング(パンゲアンからのメッセージ)
  今月のパンゲアリングは都合によりお休みをいただきます。

06年7月の活動概況

7月初旬 東京・京都でファシリテーター講習会・技術講習会を開催

ウィーン、ナイロビで実施したファシリテーター講習会を国内でも実施しました。忙しい時間を割いて、休日にも関わらず東京では9名、京都では12名と多くのボランティアの方々が参加してくださいました。タコ紹介、家作りなど、アクティビティのメニューを実際に体験しながらの講習会はとても楽しく、ファシリテーター同士の交流になったようです。

7月10日~ ピクトン(絵文字)カードモニタリング開始

パンゲアでこども達が使うピクトンの中から約200枚をカード化し、コミュニケーションに障害を持つお子さん達とご家族、先生方によるモニター実験を開始しました。日常の生活の中でより使いやすい絵文字の選定や改良・追加などについてご意見をいただき、年内に完成したカードコレクションを100セットご用意して関係施設等に配布予定です。この活動は郵政省の『平成18年度年賀寄付金』の配分を受けて実施するものです。
郵政省HP(http://www.post.japanpost.jp/kifu/)

7月13日 NICT研究報告会(絵文字研究成果発表会)

昨年度からNICT(独立行政法人・情報通信機構)とパンゲアが推進している絵文字研究の成果発表会が京都・けいはんなで開かれました。パンゲアのHP上で実施している『ピクトンアンケート』の結果報告とともに、今年度の研究計画発表と進捗報告を行いました。

7月14日、28日 荻窪北児童館アクティビティ

月に2回アクティビティが実施される荻窪北児童館では、家作り・写真撮影・声の録音・プロフィール作りなど、こども達の作品が着々とできあがっています。8月のパンゲアはお休みですが、また元気いっぱいのみんなに再会できる日がとても楽しみです。

7月22日 渋谷区合同アクティビティ

渋谷では今月も代々木小学校に4校のこども達が集いました。夏休みに入ったばかりということもあり、参加人数は10名と少なめでしたがあらたに山谷小学校からの参加者も加わり、ゆったりと落ち着いた雰囲気で自由に遊びを楽しむことができました。

お知らせ:COCON烏丸アクティビティ・こども参加者募集中!

 8月12日(土)、京都・四条烏丸の京都R&Dセンターでパンゲアアクティビティが開始しました。当日ご参加いただいた方、お手伝いいただいたボランティアの方のおかげで、楽しい時間を過ごすことができました。ありがとうございました!
今後は毎月2回(第2、第4土曜日)、定期的にアクティビティを実施していきます。対象年齢は8歳~15歳(小3~中3)。皆様ぜひご参加ください。詳細はこちらのPDFをご覧の上、事務局・花田までお知らせください。info*pangaean.org(「*」を「@」に変えてください)

理事長便り パンゲア理事長:森

 今年の7月の長雨にはかなりびっくりした。そういえば、梅雨の時期にずっと日本にいることがここ10年ぐらいなかったのでした。
 今月のパンゲアは東京と京都のファシリテーター講習会から始まりました。これまで既にパンゲアでファシリテーターを経験した人にも参加してもらい、ここ半年間海外で先行して実施した講習会を開きました。

 講習会とは言っても、私自身ただ講義を聴くのは苦手(よっぽどスピーカーがすごい場合は別ですが)。だから講義だけではなく実際にアクティビティのメニューを体験してもらいながら進めるという形式にしています。おかげで皆さんに楽しんで参加してもらえたようです。でもそれでファシリテーションのつぼなどを押さえられたかな?と不安もありましたが、その後のアクティビティで参加者達がすばらしい動きを見せてくれていたので、あ!うまくいってんだ。とほっとしました。これでパッケージのVer.1が完成です。パンゲアネット、アクティビティマニュアルVol.1~3、ファシリテーター講習のすべてがそろいました。

 月末はふたたびソウルへ。秋からアクティビティがスタートする韓国ユネスコMIZYセンターで打ち合わせなどを行ってきました。パンゲアと共同研究開発を進めるNICT(独立行政法人・情報通信機構)メンバーとも合流し、現在急ピッチで開発が進められている言語グリッドプロジェクトの多言語コミュニケーションツールをパンゲアのスタッフ間で初めて使わせていただきました。ハングル語で入力されるテキストがきれいに日本語になっていく様はまさに感動モノ!通常の同時通訳ソフトではありえない、パンゲアスタッフ間で使われる独自の言葉にもきっちり対応しています。MIZYのスタッフもびっくりしており、日韓の同期アクティビティにも早速役に立ちそうな気配。

 そして今月また嬉しい知らせと新しい動きも。三重県の助成金が正式決定し、12月から津市でアクティビティがスタートすることになりました。8月は京都R&Dセンターでアクティビティを開始。相変わらず、暇なしの毎日ですね。

 8月はなんだか暑くなりそうな気配ですが今日の東京は妙に涼しい。韓国も今年の梅雨は異常だって。環境のことも考えないといけないな。なんてちょっと真剣に思いました。ではまた。

森 由美子

技術便り パンゲア副理事長:高崎

 日本ではそろそろ梅雨も明けて、いよいよ夏本番になってきましたが皆さんいかがお過ごしですか?僕は初めて過ごす京都の夏にワクワクしています。
 森の報告にもありましたが6月末から7月にかけては海外、国内でファシリテーター講習会を実施しました。内容はパンゲアの理念やコンプライアンスの説明、こどもとの接し方などの講義をした上で、実際のアクティビティを楽しみながら体験してもらうというものです。

 技術スタッフにはこの後別途、パンゲアネットのシステム概要や現場におけるネットワークの準備、こどもの作品データ加工や管理の仕方などの詳細を指導します。拘束時間が長いにも関わらず、どなたもとても熱心に講習を受けてくださいました。今回参加した皆さん、おつかれさまでした!

 この春からパンゲアネットが正式稼動し、アクティビティの実施回数が増えるにつけ、いろいろと技術的なトラブルも発生しています。技術スタッフの作業というのは、ある程度の操作は各拠点共通なのですが、インターネット接続方法や、利用するパソコンの種類などが、拠点によって異なり、臨機応変に個別対応すべきところが多くあります。これはファシリテーターが拠点ごとに色んな個性を持つこども達に対して、臨機応変に対応することに似ていますね。技術操作で特に難しいのが、“想定外”への対処法です。スタッフが行なったパソコンの設定が悪いのか、もともとパソコン自体の調子が悪いのかなどの “トラブルシューティング"と一般に呼ばれている原因究明作業には比較的高いスキルが要求されます。現在、技術スタッフ向けの現場でのトラブルシューティングマニュアルというのを作っているところです。このマニュアルのフローチャートに従っていけば不具合に対して「原因は何か?」「その場で直る不具合なのか?その場でスグには直らない不具合なのか?」などが分かり、現場でスタッフが対応できるようになることを想定しています。またこれは何事にも言えることだと思いますが、知識だけでなくて経験することによって不具合への対応というのが身についてきます。私もパンゲア現場の立ち上げ当初から、ネットが繋がらないとか、ソフトウェアをインストールできない、とか様々な現場に遭遇しましたが、現場の技術スタッフの皆さんの協力を得ながら対処してきましたし、うまくいかなかった時には原因究明を徹底的にしてきました。これからも、こども達が安心して楽しく遊べるユニバーサルプレイグラウンドの技術基盤の部分を、技術スタッフの皆さんと一緒に支えていきたいと思っています!

高崎俊之

アクティビティ便り アクティビティ担当:山崎

 7月は東京で3回のアクティビティがありました。ほぼ毎週の対応で準備も大変ですが、マニュアルのおかげでスタッフがうまく連携できるようになってきています。新米リーダーの私にも余裕が生まれ、現場で注意深く全体を見渡せるようになってきました。そんな私の視点でみえてきたことをここではどんどんご報告していこうと思っています。

杉並アクティビティ 先月号で拠点ごとのこどもの個性について触れましたが、今月こども達とパンゲアネットで遊んでいて、ピクトンとの向き合い方の違いに気づきました。杉並のこども達はとにかく聞きたがり屋です。「これどうするの?これなに?次はどうするの?」質問がサラウンドで飛んでくるので大変。その中で気になったのは、彼らが自分の作ったピクトンメールの「正しさ」を確認してくることです。「これどういう意味?家ってピクトンどこにあるの?この文章であってる?」などなど。なんて答えようか躊躇していたら隣にいた女の子が「自分で考えなよ。それが大事でしょ」と言い放ちました。ちゃんとわかってくれている子もいるんだな、と嬉しくなりましたが、実のところわからない方が当然の反応だとも思います。

杉並アクティビティ これは渋谷ではあまりないことです。渋谷ではコミュニケーターの試験版ができる前から、ポストイットに描いたイラストを自由に紙に貼って文章をつくるなど、アナログスタイルでピクトンを使っていました。こども達自身が私たちと一緒にピクトンの意味を考え、面白い使い方のアイデアなどをどんどん創出してくれました。そうすることでピクトンへのモチベーションも理解もずっと深まっていったようです。日韓同期アクティビティでは、webカメラの前に自分の描いたピクトンメールを誇らしげに掲げるこども達の姿が印象的でした。
 パンゲアネットもピクトンもあくまでツールです。パンゲアの面白さは、想像力を駆使してリアルな体験から生み出した作品やアイデアがネットを通じて世界のこども達にどんどん伝わっていくところにある。ここにきてあらためてそう感じました。

 杉並は全員が今年初めての参加なので、まだそこまで達してはいないんですね。だから次のアクティビティではアナログでピクトンを使った遊びを取り入れてみようと思っています。渋谷でも久しぶりに取り入れよう。「夏休み」なんてタイトルのピクトンマンガがパンゲアムに投稿されるのが楽しみです。

山崎 麻里子