March 2006 Pangaea Newsletter

-INDEX-

・パンゲアホームページリニューアルのお知らせ
・理事長便り
・副理事長 技術便り
・アクティビティ活動報告
・パンゲアリング
 今月はパンゲアで事務・会計仕事を中心に担当している事務局の花田武和さんです。

ホームページリニューアルのお知らせ

パンゲアのホームページをリニューアルしました!
全体的なデザインの変更を行い、情報も見やすくなるよう、サイトの構造に手を加えています。英語サイトも同時にリニューアルを行い、韓国語・ドイツ語版のパンゲア概要も追加されました。
デザインには子どもたちの作品やピクトンなどをたくさん使い、理念や具体的な活動内容が活き活きと伝わってくるものに仕上がっています。ボランティアとしてページの再構築やデザイン、英語サイトの翻訳を手がけてくださった枝廣綾子さんにこの場を借りてお礼申し上げます。
新しいホームページにぜひ感想をお寄せください!
感想のあて先:E-mail: info*pangaean.org(「*」を「@」に変えてください)

理事長便り パンゲア理事長:森

パンゲア拠点準備の旅。2月はウィーンとナイロビを訪れました。ソウルで引いた風邪が治りきらないまま到着したウィーンは、マイナス10度を下回る寒さ。ほんとうに凍えてしまいそうでした。現地では「気管支炎じゃないか?」「肺炎になるぞ!」などと協力者のみなさんにはご心配をおかけしましたが、ファシリテーター研修も無事終え、ユースセンターでのアクティビティに参加してくれた子どもたちは本当に楽しんでくれたようで何より。今は今回の最終目的地ナイロビに来ています。

ルシンガ・スクールでのアクティビティ(ナイロビ) 昨日はルシンガ・スクールというところで放課後にアクティビティを実施しました。ここではちょっとしたアクシデントに見舞われました。開始1時間半前にスコールがあり、ナイロビ市内はまるで川と沼のように。おかげでファシリテーターがなかなかやってこないのです。しかも日本では2時間半かけている準備時間がここでは施設の都合でたったの15分!始めての施設で私と高崎、中学生の男の子のたった3人で準備をするという冷や汗体験でありました。でも、東京のスタッフががんばって作成してくれたマニュアルはとても使いやすく、無事乗り切ることができました。これからの活動に期待が持てます。

キブリのスラム NPOパンゲア・アフリカ支部の登録準備も始まりました。アフリカ支部はキブリのスラム(クワンガーレ)にあるコミュニティセンターにできる予定です。さきほどそこを訪問してきました。そこには約60人のストリートチルドレンが生活し、PCを学んだり、勉強したり、家具など工芸品作りを学んだりしています。さらに地域の人々のために薬の販売を行ったり、週1回の診療所が設けられています。スタッフは陽気なケニア人。キブリの生活などをフィルムに撮ったりしています。診療所の看護婦さんは すごい美人で優しい人。診療所といっても検査機器が3つあるだけですが、15分でAIDS診断ができる最新のものです。AIDSにより多くの死者を出しているここケニアではカウンセリングや予防がとても大事。

スラムのコミュニティセンター(ナイロビ) スラムのコミュニティセンター(ナイロビ) コミュニティセンターの診療所(ナイロビ)

キジト神父(中央) ここの施設の創設者はキジト神父という方で、まるでサンタクロースみたいな風貌のあったかそうなおじいさんです。 前回にナイロビを訪問したとき私が受けたラジオのインタビューでパンゲアのことを知り、直接メールを下さった方。この施設では、子どもの笑顔が全てを物語っています。

アクティビティが終わった後、女の子がふたり私のところに来て、「ゆみ、パンゲアを持ってきてくれてありがとう。すっごく楽しかった。」と言ってくれました。その言葉が旅の疲れも何もかも、忘れさせてくれました。

今回各地を回ってみて、言葉が通じないということは大変なことだと痛感しました。買い物ひとつもやっかいです。でも完成間近のパンゲア・コミュニケーター(絵文字メールアプリケーション)は、異文化コミュニケーションに威力を発揮することを今回の旅で確信することができました。旅の大きな成果です。たくさんのみやげ話を手に、もうすぐ東京に戻ります。

初期のフェーズとして、4カ国の実施拠点のセットアップも終わりに近づいています。実際にパンゲアに参加する世界の子どもたちの顔が見えてきました。東京で作成中のマニュアルも完成形がみえ、ケニアではその使いやすさが実証されました。パンゲアネットも4月のリリースに向けて着々と作業が進んでいます。みなさん、いよいよですよ!

森 由美子

技術便り パンゲア副理事長:高崎

ユースセンターでのアクティビティ(ウィーン) 前号はソウルからご挨拶しましたが、その後40時間ほど東京に滞在しただけで、2月始めにはウィーンへ。市立のユースセンター(児童館)でパンゲアを立ち上げました。そこはトルコ系やスロバキア系の移民の子どもたちが多く訪れる地域です。ここでファシリテーターの講習会を開き、子どもたちを集めてアクティビティを開催しました。技術スタッフのリーダーはダニエル君。彼は非常にコンピューターに長けていて、ソフトウェアのアイデアやインターネットの活用方法などをどんどん提案してくれる頼もしい人です。

ユースセンターでのアクティビティ(ウィーン) アクティビティ終了後、ご両親がバングラデシュ出身の12歳の男の子がボクのところにやって来て、「将来はコンピューターエンジニアになりたいんだ。好きなモノがパソコンで作れたり、言葉が通じない人たちと一緒に遊べたりするパンゲアには、これからも絶対参加するよ!」と熱心に話してくれたのが印象的でした。

真冬のウィーンを後にして、今は南半球にある真夏のケニア・ナイロビに来ています。最初に見た光景がケニアの今のIT状況を物語っていました。空港からホテルへ向かう道中、幹線道路の中央分離帯にある大きな携帯電話の広告塔の下で、シマウマが悠然と草を食べているんです。この光景がケニアでのITの急進的な発展を象徴していました。 ナイロビの空 2年半前にMIT(マサチューセッツ工科大学)から資金援助を受けた予備調査のためにナイロビを訪れたことがあるのですが、こんな携帯電話の広告なんてほとんど見かけませんでした。でも今では町の至る所に広告があり、しかも多くの携帯電話ユーザーを見かけます。またこれも2年半前には無かったのですが、滞在先のホテルでは無線インターネット(WiFi:ワイファイ)が繋がります。ただ、繋がるのだけれどもしばしばホテル丸ごと停電になってしまうとうい状況ではあります。インターネットどころか電気も点かなくなるので、夜だと真っ暗。ホントに真っ暗で何も見えないので、ホテルの中を歩いているとつまづいてしまいます。でも空には満天の星空。こんなのを眺められるなんてラッキー。

ナイロビのルシンガスクールでのアクティビティも大成功。とにかく楽しかった!スワヒリ語と日本語は音が似ているので、子どもたちは名前もスグに覚えてくれます。「とし、また必ず来てよ!」そんな言葉がとっても嬉しかったです。

ちょっと専門的になりますが、「トレースルート:trace route」というコンピューターの命令があります。相手先のインターネットのアドレスを指定してやると、今自分のいる場所から相手先まで、どういう経路で繋がっているのかが分かります。私は各パンゲアの現場のIT環境事前チェックの時に使います。例えば日本:東京から米国:ボストンを試すと、カリフォルニアを通過して、そこから東へ向かって、時にはシカゴ経由で、時にはニューヨーク経由でボストンに到達します。インターネットというのは柔らかくできているので、その瞬間、瞬間でネットワークの混み具合などの理由から、ルートが変更されます。先週、ナイロビに着いた時に、東京へトレースルートしてみました。そうすると、何と、ナイロビからヨーロッパを通った後、大西洋を越えてニューヨーク、ロサンゼルスを経由し、次に太平洋を越えて東京に辿り着いたのです。実際の地球と、海も山も関係ないインターネットにおける距離の概念の違いを改めて実感しました。

こんな距離感覚と世界観の中で、言葉の違いや文化背景の違いなどを自然に楽しみながら前向きなコミュニケーションをはかり、つながっていく。それがパンゲアです。4月のリリースはもうすぐそこ。パンゲアネットの開発チームは最後の追い込みをかけています!

高崎俊之

アクティビティ活動報告 アクティビティ担当:向井

地球の上でパンゲアアクティビティが展開されている。
そしてパンゲアネットに、各地の子どもたちの「家」が更新されていく。

「ウィーンで“家”を追加しました」。拠点から
そんな連絡をもらう前に、パンゲアネットの「家」は増えていました。
そこには驚きと感動があり、
これから各地に広がる拠点で共通の体験となっていくのでしょう。

会ったこともない子、
ましてや行ったこともないその場所に居る子どもたちが、
自分と同じ活動をしている。
そしてそこにそれぞれの個性が「家」というかたちで表現されている。
その国の言葉で記され、どう読むのかわからないその子の名前は、
その子自身の“声”で聞くことができる。

ウィーンの子どもの「家」を食い入るように見ていた、
日本の子どもが印象的。

「家」という題材はとても、とても、意味深いもの。
自然の中、キャラクター、国旗、動物、お菓子、などなど。。。
それぞれの思いがいきいきと表現されている。

アクティビティを通して表現されている“誰か”は、
パソコンに1人で向かっている“誰か”ではない。
それぞれの拠点で、子どもたち同士、そしてファシリテーターと共に
活動をした結果として、そこに表現されている。
それはとても大切なこと。

2月はインタラクティブ絵本づくりに力を入れた。
4月以降、本格的に始動するパンゲアネットの中で、
こうした作品の感想がピクトンメールによって行き交うことになる。
それが世界の拠点で活動するひとりひとりを
つないでいくことになるだろう。

その日がとても、待ち遠しい。

向井清二

パンゲアリング パンゲア事務局:花田武和

はじめまして。パンゲアの事務局を担当しております花田 武和(はなだ たけかず)です。昨年11月からパンゲアに参加し、記者発表会、日韓同期アクティビティなど、とても貴重な体験をさせていただいております。

理事長・森とは12年前におもちゃメーカーに就職したときに出会いました。当時からすごくパワフルで、色々教わったり、ピンチのときに助けてもらいました。そこを辞めたあとテディベアを作り始め、そこでも色々な出会いがあり、人と人とのつながりの大切さを感じました。森に誘われ、パンゲアの活動を見学したのは昨年10月のことです。そこで自分が求めていたつながりを大切にしている世界を見つけました。さらに11月20日のアクティビティでは、参加した子どもたちの楽しそうな笑顔に触れ、震えるほど感動し、ここに関われることを光栄に感じました。

今も毎週、アクティビティに参加をしていますが、最初に感じた気持ちは変わることなく、子どもたちに癒されながら過ごしています。 現在は事務・会計業務などを中心に、4月のパッケージ化に向けマニュアル作りの取りまとめも行っています。これが今後、世界に向け広がっていくと思うと楽しみでなりません。パンゲアの土台を支える一員でいられたらいいなと思います。

また、ご取材やお問い合わせに対するお返事にも私、花田がお応えいたしますので、いつでもお問い合わせください。これからもどうぞ宜しくお願いします。

花田武和